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オブジェクトの非表示と再表示

  

オブジェクトの非表示・再表示について

この記事では、オブジェクトを非表示にする方法と、再表示する方法について説明します。 なお、オブジェクトを非表示にするのも再表示するのも、やや操作が面倒な場合があります。

Inkscapeには、複数のオブジェクトをまとめて非表示にする機能はありません。 また、複数の非表示のオブジェクトから一部のオブジェクトだけを再表示する手順も面倒でわかりにくいです。 残念ながら、それらの操作については、Inkscapeは使い勝手がよくありせん。

レイヤの非表示・再表示の方が使いやすい

最初に言っておきますが、Inkscapeのオブジェクトの非表示・再表示の機能は使い勝手が悪いです。 Inkscapeにはレイヤ単位で非表示・再表示する機能がありますので、そちらの機能を使いましょう。

複数のオブジェクトの非表示と一部のオブジェクトの再表示

では、オブジェクトの非表示と再表示の例を紹介します。 どんな画像でもいいのですが、ここでは前の章で制作した座っているクマのイラストを開きます。

1. 座っているクマのイラスト
1. 座っているクマのイラスト

上図のように複数のオブジェクトで構成されている画像を開きます

では、いくつかのオブジェクトを非表示にしてみましょう。 今回は、顔の土台と胴体の2つのオブジェクトを非表示にします

なお、2つのオブジェクトをまとめて非表示にすることはできません。 1つずつ操作する必要があります。 まずは、顔の土台から非表示にしましょう。

2. 顔の土台を右クリック
2. 顔の土台を右クリック

上図のように顔の土台をマウスの右ボタン(マウスの右ボタン)でクリックします。

3. オブジェクトのプロパティ(O)...を実行
3. オブジェクトのプロパティ(O)...を実行

上図のようにメニューが表示されますので、"オブジェクトのプロパティ(O)..."を実行します。

4. オブジェクトのプロパティダイアログが開く
4. オブジェクトのプロパティダイアログが開く

上図のようにオブジェクトのプロパティダイアログが開きます。 このダイアログでは、オブジェクトの属性を設定することができます。 オブジェクトの非表示は、"隠す(H)" チェックボックスで設定します。

5. 隠す(H)チェックボックスをチェック
5. 隠す(H)チェックボックスをチェック

上図のように "隠す(H)" チェックボックスをチェックします。

6. 顔の土台が非表示になる
6. 顔の土台が非表示になる

上図のように顔の土台が非表示になりました。 バウンディングボックスが表示されていることからキャンバス上には存在していることがわかります。

  
バウンディングボックスとは、オブジェクトを囲む最小の矩形の枠のことです。 矩形(くけい) 矩形(くけい) とは全ての角が90度の四角形のこと、つまり正方形か長方形のことです。

では、オブジェクトのプロパティダイアログは開いたまま、胴体を非表示にする作業へ進みましょう

7. 胴体を選択する
7. 胴体を選択する

上図のように胴体をマウスの左ボタン(マウスの左ボタン)でクリックします。 つまり、オブジェクトを選択します。

  
右クリックではなく左クリックです。
8. オブジェクトのプロパティダイアログの内容が変化する
8. オブジェクトのプロパティダイアログの内容が変化する

上図のようにオブジェクトのプロパティダイアログの内容が変化します。 胴体のオブジェクトを選択したことにより、胴体の属性の表示に切り替わりました。

このように、オブジェクトを選択すればオブジェクトのプロパティダイアログの内容は自動的に切り替わります。 ダイアログを開き直す必要はありません

9. 隠す(H)チェックボックスをチェック
9. 隠す(H)チェックボックスをチェック

上図のように "隠す(H)" チェックボックスをチェックします。 チェックしたら、ダイアログは閉じましょう。 右上の[×]ボタン([×]ボタン)を押すことで閉じることができます

10. 胴体が非表示になる
10. 胴体が非表示になる

上図のように胴体も非表示になりました。 ではここで選択を解除しましょう。

11. ツールコントロールの[選択オブジェクトまたはノードのすべてを選択解除]ボタンを押す
11. ツールコントロールの[選択オブジェクトまたはノードのすべてを選択解除]ボタンを押す

上図のように画面上部にあるツールコントロールの[選択オブジェクトまたはノードのすべてを選択解除]ボタン([選択オブジェクトまたはノードのすべてを選択解除]ボタン)を押します。

  
選択ツールでオブジェクトがない場所をクリックすることでも、選択を解除することができます。
12. 選択が解除される
12. 選択が解除される

上図のように選択が解除されました。 では、次に非表示にしたオブジェクトを再表示してみましょう。 まずは、全ての非表示オブジェクトを再表示する方法から説明します

13. オブジェクト(O) -> すべて表示を実行
13. オブジェクト(O) -> すべて表示を実行

上図のように画面上部のプルダウンメニューの"オブジェクト(O)" -> "すべて表示"を実行します。

14. 全てのオブジェクトが表示される
14. 全てのオブジェクトが表示される

上図のように全てのオブジェクトが表示されます。 つまり、顔の土台と胴体の両方が再表示されたということです。 このように、全ての非表示オブジェクトを再表示するのは簡単です

では、顔の土台と胴体を非表示に戻しましょう。 画面上部のプルダウンメニューの"編集(E)" -> "元に戻す(U)"を実行します(またはキーボードのCTRL + Zを押します)。

15. 顔の土台と胴体が非表示に戻る
15. 顔の土台と胴体が非表示に戻る

上図のように顔の土台と胴体が非表示に戻りました。 では続いて、一部のオブジェクトだけを再表示する方法を説明します。 今回は、顔の土台だけを再表示してみます

顔の土台だけを再表示するには、顔の土台だけを選択する必要があります。 でも、どうやって選択すればいいのでしょうか。

Inkscapeでは、非表示のオブジェクトはマウスのクリックやドラッグで選択することはできません。 では、キーボード操作で選択できるのかというと、残念ながら初期設定のままではそれもできません。 初期設定では、非表示のオブジェクトを選択する方法は3つしかありません。

1つ目は、XMLエディタを使う方法です。 XMLエディタとは、SVGドキュメントの内部構造を直接編集するためのツールで、画面上部のプルダウンメニューの"編集(E)" -> "XML エディター(X)..."から呼び出す事ができます。 XMLエディタの使い方についてはここでは触れませんが、使い勝手がよいものではありません

2つ目は、検索/置換ダイアログでオブジェクトを検索する方法です。 画面上部のプルダウンメニューの"編集(E)" -> "検索/置換(F)..."を実行することで、検索/置換ダイアログが開きます。 このダイアログでは、条件を指定してオブジェクトを検索することができ、条件に一致したものが選択された状態になります。 ただし、今回の例のような場合には、顔の土台だけを選択することはできません。 非表示のオブジェクトも含めて検索する指定はありますが、非表示のオブジェクトだけを検索する指定はないためです。 また、それ以外の検索条件もあまり細かく指定できないため1つのオブジェクトだけを選択するのには向いていません。

3つ目は、同じオブジェクトを選択する機能を使う方法です。 あらかじめオブジェクトを選択しておき、画面上部のプルダウンメニューの"編集(E)" -> "同じオブジェクトを選択(M)"から実行することができます。 同じフィルを持つオブジェクトを選択したり、同じ種類のオブジェクトを選択することができます。 ただし、この方法も1つのオブジェクトだけを選択するのには向いていません

というわけで、初期設定のままでは非表示のオブジェクトを選択する便利な方法はありません。 よって、設定を変えるしかありません。 キーボードの操作で非表示のオブジェクトを選択できるよう、設定を変更しましょう

16. 編集(E) -> Inkscapeの設定(R)...を実行
16. 編集(E) -> Inkscapeの設定(R)...を実行

上図のように画面上部のプルダウンメニューの"編集(E)" -> "Inkscapeの設定(R)..."を実行します(またはキーボードのSHIFT + CTRL + Pを押します)。

17. Inkscapeの設定ダイアログが開く
17. Inkscapeの設定ダイアログが開く

上図のようにInkscapeの設定ダイアログが開きます。

18. チェックボックスのチェックを外す
18. チェックボックスのチェックを外す

上図のように"振る舞い" -> "選択"のカテゴリに移動し、"非表示のレイヤーおよびオブジェクトは選択しない" チェックボックスのチェックを外します。

これで、非表示のオブジェクトをキーボードで選択できるようになりました。 なお、キーボードで選択する方法は以下のように3つあります。

操作/コマンド 説明
CTRL + A 全てのオブジェクトを選択する
TABキー オブジェクトを順に選択する
SHIFT + TABキー オブジェクトを逆順に選択する

CTRL + Aでは全てのオブジェクトが選択されてしまいますので、今回の目的には使えません。 今回の目的のように、オブジェクトを1つだけ選択する場合にはTABキー(またはSHIFT + TABキー)を押します。 では、TABキーを押しましょう。

19. オブジェクトが1つ選択される
19. オブジェクトが1つ選択される

上図のようにオブジェクトが1つ選択されます。 残念ながら顔の土台ではありませんので、さらにTABキーを何度か押して顔の土台を選択しましょう

20. 顔の土台が選択される
20. 顔の土台が選択される

上図のように顔の土台が選択されます。 やっと、顔の土台だけを選択することができました。 では、オブジェクトのプロパティダイアログを開き、非表示を解除しましょう。

ただし、マウス操作でオブジェクトのプロパティダイアログを開くことはできません。 非表示のオブジェクトはマウスでは選択できないため、右クリックには反応しません。 画面上部のプルダウンメニューか、キーボードショートカットで開きましょう

21. オブジェクト(O) -> オブジェクトのプロパティ(O)...を実行
21. オブジェクト(O) -> オブジェクトのプロパティ(O)...を実行

上図のように画面上部のプルダウンメニューの"オブジェクト(O)" -> "オブジェクトのプロパティ(O)..."を実行します(またはキーボードのSHIFT + CTRL + Oを押します)。

22. 隠す(H)チェックボックスのチェックを外す
22. 隠す(H)チェックボックスのチェックを外す

上図のようにオブジェクトのプロパティダイアログが開きますので、"隠す(H)" チェックボックスのチェックを外します。 チェックしたら、右上の[×]ボタン([×]ボタン)を押してダイアログを閉じましょう。

23. 顔の土台が表示される
23. 顔の土台が表示される

上図のように顔の土台のみが再表示されます。 このように、一部のオブジェクトだけを再表示するのはかなり面倒です

  
  

まとめ

オブジェクトのプロパティダイアログの "隠す(H)" チェックボックスをチェックすることで、オブジェクトを非表示にすることができます。 なお、複数のオブジェクトをまとめて設定することはできません。

操作/コマンド 説明
SHIFT + CTRL + O オブジェクトのプロパティダイアログを開く

非表示にしたオブジェクトは、プルダウンメニューから再表示させることができます。 ただし、全てのオブジェクトを再表示する方法しか提供されておらず、一部のオブジェクトのみを再表示することはできません。

操作/コマンド 説明
(画面上部のプルダウンメニュー)
"オブジェクト(O)" -> "すべて表示"
全てのオブジェクトを表示する

一部のオブジェクトのみを再表示するには、そのオブジェクトだけを選択する必要があります。 そのためには、Inkscapeの設定ダイアログの"振る舞い" -> "選択"のカテゴリで "非表示のレイヤーおよびオブジェクトは選択しない" チェックボックスのチェックを外し、キーボードショートカットで選択しなければなりません。

操作/コマンド 説明
CTRL + A 全てのオブジェクトを選択する
TABキー オブジェクトを順に選択する
SHIFT + TABキー オブジェクトを逆順に選択する

再表示したいオブジェクトを選択したら、オブジェクトのプロパティダイアログの "隠す(H)" チェックボックスのチェックを外して再表示させます。

 
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