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フィル/ストロークダイアログの詳細(その2)

  

フィル/ストロークダイアログの見かたと使い方(続き)

前の記事の『フィル/ストロークダイアログの詳細』からの続きです。 この記事では、塗りの種類について詳しく説明します

塗りの種類
塗りの種類

前の記事でも説明したように、塗りの種類はボタンで選択します。 ボタンは選択式であり、どれか1つしか選択することはできません。 塗りの種類のボタンの意味は以下の通りです。

操作/コマンド 説明
[塗りなし]ボタン オブジェクトからフィル(またはストローク)を削除する
[単一色]ボタン 単一色で塗る
[線形グラデーション]ボタン 線形グラデーションで塗る
※始点から終点に線状に色が変化するグラデーション
[放射グラデーション]ボタン 放射グラデーションで塗る
※中心点から放射状に色が変化するグラデーション
[メッシュグラデーション]ボタン メッシュグラデーションで塗る
※格子状/円錐状の網目ごとに色が変化するグラデーション
[パターン]ボタン パターンで塗る
※パターンとは図柄のこと
※パターンはいくつも用意されている
※自分でパターンを作ることもできる
[スウォッチ]ボタン スウォッチから選んだ設定で塗る
※スウォッチとは塗りの色見本のこと
※色見本に登録されている色の中から選ぶということ
[塗りをアンセット]ボタン 塗りをアンセットにする
※クローンで複製する場合に必要になることがある
※クローン元をアンセットにするとクローン先のオブジェクトごとに塗りを設定できる

選択した塗りの種類によりダイアログの表示内容が切り替わります。 塗りの種類ごとの設定項目は以下の通りです。

[塗りなし]ボタンを選択した場合の設定項目

[塗りなし]ボタン([塗りなし]ボタン)を選択した場合は、オブジェクトからフィル(またはストローク)が削除されます。 よって、何も設定するものはありません。

[塗りなし]ボタンを選択した場合の表示内容
[塗りなし]ボタンを選択した場合の表示内容

上図のように何も項目は表示されません

[単一色]ボタンを選択した場合の設定項目

[単一色]ボタン([単一色]ボタン)を選択した場合は塗る色を指定する必要があり、そのための項目が表示されます

[単一色]ボタンを選択した場合の表示内容
[単一色]ボタンを選択した場合の表示内容

上図のように上部には[RGB]・[HSL]・[CMYK]・[ホイール]・[CMS]の5つのボタンがあり、その下にはR / G / B / Aの入力欄(スライダと数値入力)があります。

また、さらに下にはアイコン([カラーマネジメントされています]アイコン / [色域の範囲外です!]アイコン / [インクが多すぎます!]アイコン)と[スポイトツール]ボタン([スポイトツール]ボタン)、およびRGBAの入力欄も表示されています。

色の指定方法と色の入力欄

では、それぞれもう少し詳しく見ていきましょう。 まずは、色の指定方法と色の入力欄からです。

色の指定方法と色の入力欄
色の指定方法と色の入力欄

[RGB]・[HSL]・[CMYK]・[ホイール]・[CMS]の5つのボタンは色の指定方法を切り替えるためのもので、初期状態では[RGB]ボタンが選択されています。

その下の、R / G / B / Aの入力欄は、色の入力欄です。 これらの項目は、選択した色の指定方法によって変化します。 初期状態では[RGB]ボタンが選択されているため、R(赤)・G(緑)・B(青)・A(不透明度)の入力欄が表示されています。

色の指定方法の各ボタンの意味とそれぞれの色の指定方法は以下の通りです。


[RGB]ボタン([RGB]ボタン)を選択した場合は、RGB形式で色を指定します。

[RGB]を選択した場合の色の指定方法
[RGB]を選択した場合の色の指定方法

Rは赤成分、Gは緑成分、Bは青成分、Aは不透明度を表します。 RGBAともにスライダまたは数値入力します。 なお、RGBAともに 0 から 255 の256段階の強度で指定します。

  1. Rは赤成分
  2. Gは緑成分
  3. Bは青成分
  4. Aは不透明度
  5. RGBAともにスライダまたは数値入力する
  6. RGBAともに 0 から 255 の256段階の強度で指定する

[HSL]ボタン([HSL]ボタン)を選択した場合は、HSL形式で色を指定します。

[HSL]を選択した場合の色の指定方法
[HSL]を選択した場合の色の指定方法

Hは色相(色合い)、Sは彩度(鮮やかさ)、Lは輝度(明るさ)、Aは不透明度を表します。 HSLAともにスライダまたは数値入力します。 なお、HSLAともに 0 から 255 の256段階の強度で指定します。

  1. Hは色相(色合い)
  2. Sは彩度(鮮やかさ)
  3. Lは輝度(明るさ)
  4. Aは不透明度
  5. HSLAともにスライダまたは数値入力する
  6. HSLAともに 0 から 255 の256段階の強度で指定する

[CMYK]ボタン([CMYK]ボタン)を選択した場合は、CMYK形式で色を指定します。 なお、CMYKについては、特集 > CMYKって何だろうを参照ください。

[CMYK]を選択した場合の色の指定方法
[CMYK]を選択した場合の色の指定方法

Cはシアン(水色)、Mはマゼンタ(紫色)、Yはイエロー(黄色)、Kはキープレート(黒色)、Aは不透明度を表します。 CMYKAともにスライダまたは数値入力します。 なお、CMYKAともにパーセント(0 から 100)で指定します。

  1. Cはシアン(水色)
  2. Mはマゼンタ(紫色)
  3. Yはイエロー(黄色)
  4. Kはキープレート(黒色)
  5. Aは不透明度
  6. CMYKAともにスライダまたは数値入力する
  7. CMYKAともにパーセント(0 から 100)で指定する

[ホイール]ボタン([ホイール]ボタン)を選択した場合は、色相環で視覚的に色を指定することができます。

[ホイール]を選択した場合の色の指定方法
[ホイール]を選択した場合の色の指定方法

色の表現はHSL形式と全く同じで、H(色相)、S(彩度)、L(輝度)、A(不透明度)で指定します。 HSL形式とは操作方法が異なるだけです。 操作手順は以下の通りです。

色相の選択
色相の選択

まず、H(色相)を選びます。 色相環と呼ばれるカラフルなリング上の目的の色合いをマウスの左ボタン(マウスの左ボタン)でクリックします。

すると、リングに内接する三角形が連動して回転します。 クリックした位置に三角形の頂点が向きます

彩度の調整
彩度の調整

次に、S(彩度)を調整します。 リングに内接する三角形の垂直位置で強度を調整します。 頂点側は強度が高く、下辺側は強度が低くなっています。 三角形の内部の目的の彩度の場所をマウスの左ボタン(マウスの左ボタン)でクリックします。

輝度の調整
輝度の調整

最後に、L(輝度)を調整します。 リングに内接する三角形の水平位置で強度を調整します。 頂点から時計回りの次の角側の強度が高く、逆側の角は強度が低くなっています。 三角形の内部の目的の輝度の場所をマウスの左ボタン(マウスの左ボタン)でクリックします。

不透明度の調整
不透明度の調整

必要であれば、A(不透明度)も調整します。 Aはスライダまたは数値入力します。 なお、Aは 0 から 255 の256段階の強度で指定します。

  1. H(色相)はリングから選ぶ
  2. S(彩度)はリングに内接する三角形の垂直位置で選ぶ
  3. L(輝度)はリングに内接する三角形の水平位置で選ぶ
  4. A(不透明度)はスライダまたは数値入力する
  5. Aは 0 から 255 の256段階の強度で指定する

[CMS]ボタン([CMS]ボタン)を選択した場合は、CMS(カラーマネジメントシステム)を用いて色を指定します。

[CMS]を選択した場合の色の指定方法

カラーマネジメントシステムを用いることで、特定の機器(モニタ・プリンタ等)ではどんな色になるかを画面上で見ることができます

カラーマネジメントシステムを用いるには、画像を出力する機器用のカラープロファイルが必要です。 カラープロファイルは機器の色の特性の情報であり、機器のメーカや標準化団体などが配布しています。

  1. カラーマネジメントシステムを用いることで、特定の機器(モニタ・プリンタ等)ではどんな色になるかを画面上で見ることができる
  2. カラーマネジメントシステムを用いるには、画像を出力する機器用のカラープロファイルが必要
  3. カラープロファイルは機器の色の特性の情報であり、機器のメーカや標準化団体などが配布している
  
カラーマネジメントについては、特集 > Inkscapeでカラーマネジメントするを参照ください。

アイコン

続いては、色の入力欄の下にある3つのアイコン([カラーマネジメントされています]アイコン / [色域の範囲外です!]アイコン / [インクが多すぎます!]アイコン)です。

アイコン
アイコン

これらのアイコン([カラーマネジメントされています]アイコン / [色域の範囲外です!]アイコン / [インクが多すぎます!]アイコン)は色の指定状態を表す表示灯、つまりインジケータです。 ユーザが色に関する設定を行ったり色を指定したりすることで自動的に点灯・消灯します。 ボタンではないのでユーザが押すことはできません。

操作/コマンド 説明
[カラーマネジメントされています]アイコン カラーマネジメントが有効な場合に点灯する
[色域の範囲外です!]アイコン 現在カラーマネジメント中の機器では表現できない色が指定されている場合に点灯する
[インクが多すぎます!]アイコン 文字通りインクの使いすぎで点灯する
※と思うのですが詳細はわかりません

[スポイトツール]ボタン

次は、アイコンの右にある[スポイトツール]ボタン([スポイトツール]ボタン)です。

[スポイトツール]ボタン
[スポイトツール]ボタン

[スポイトツール]ボタン([スポイトツール]ボタン)は、一時的にスポイトツールに切り替えるためのボタンです。 [スポイトツール]ボタン([スポイトツール]ボタン)を押すとスポイトツールに切り替わり、他のオブジェクトをクリックすることで色を抽出することができます。 色の抽出後は前に選択していたツールに戻ります。

操作/コマンド 説明
[スポイトツール (画像から色を採取)]ボタン 一時的にスポイトツールに切り替わる
※他のオブジェクトをクリックすることで色を抽出できる
※色の抽出後は前に選択していたツールに戻る

では、[スポイトツール]ボタン([スポイトツール]ボタン)を使って色を抽出してみましょう。

1. [スポイトツール]ボタンを押す
1. [スポイトツール]ボタンを押す

上図のように任意のオブジェクトを選択し、[スポイトツール]ボタン([スポイトツール]ボタン)を押します。 今回はピンク色のオブジェクトを選択しています

2. スポイトツールに切り替わっている
2. スポイトツールに切り替わっている

上図のように画面左部にあるツールボックスのスポイトツールが選択されています。 このように、[スポイトツール]ボタン([スポイトツール]ボタン)を押すと自動的にスポイトツールに切り替わります。

3. 色を抽出したいオブジェクトをクリック
3. 色を抽出したいオブジェクトをクリック

上図のように色を抽出したいオブジェクトをマウスの左ボタン(マウスの左ボタン)でクリックします。

4. ピンク色のオブジェクトが水色に変化する
4. ピンク色のオブジェクトが水色に変化する

上図のようにピンク色のオブジェクトが水色に変化します。 また、R / G / B / Aの入力欄(スライダと数値入力)およびRGBAの入力欄にも水色がセットされています。

5. 選択ツールに戻っている
5. 選択ツールに戻っている

上図のように画面左部にあるツールボックスの選択ツールが選択されています。 このように、色の抽出後は前に選択していたツールに戻ります。

RGBAの入力欄

最後はダイアログの右下にあるRGBAの入力欄です。 HTMLカラーコードとも呼ばれます

RGBAの入力欄
RGBAの入力欄

RGBAの入力欄は、赤成分(R)・緑成分(G)・青成分(B)・不透明度(A)を16進数のカラーコードで確認・修正するためのものです。

  
"HTMLカラーコード" で検索すればHTML表記での色見本のサイトがたくさん見つかります。

R / G / B / Aをそれぞれ2桁の16進数で表現するため、"0480e8ff" のように全部で8桁になります。 "0480e8ff" の場合は、R / G / B / Aのそれぞれの強度は以下になります。

成分 強度(16進数)
赤成分(R) 04
緑成分(G) 80
青成分(B) e8
不透明度(A) ff

16進数であるため、下から2桁目は16の位となります。 よって、10進数との対応は以下のようになります。

16進数 10進数
00 0
01 1
02 2
03 3
04 4
05 5
06 6
07 7
08 8
09 9
0a 10
0b 11
0c 12
0d 13
0e 14
0f 15
10 16
11 17
.
.
.
省略
.
.
.
f0 240
f1 241
f2 242
f3 243
f4 244
f5 245
f6 246
f7 247
f8 248
f9 249
fa 250
fb 251
fc 252
fd 253
fe 254
ff 255

次の記事へ

長くなってきましたので、一区切りします。 続きは次の記事を参照ください

  
  

まとめ

[塗りなし]ボタン([塗りなし]ボタン)を選択した場合は、オブジェクトからフィル(またはストローク)が削除されます。

[単一色]ボタン([単一色]ボタン)を選択した場合は、塗る色を指定する必要があります。 色の指定方法は、[RGB]・[HSL]・[CMYK]・[ホイール]・[CMS]の5つのボタンで選択します。 色の指定方法の詳細は以下の通りです。

操作/コマンド 説明
[RGB]ボタン RGB形式で色を指定する
※Rは赤成分
※Gは緑成分
※Bは青成分
※Aは不透明度
※RGBAともにスライダまたは数値入力する
※RGBAともに 0 から 255 の256段階の強度で指定する
[HSL]ボタン HSL形式で色を指定する
※Hは色相(色合い)
※Sは彩度(鮮やかさ)
※Lは輝度(明るさ)
※Aは不透明度
※HSLAともにスライダまたは数値入力する
※HSLAともに 0 から 255 の256段階の強度で指定する
[CMYK]ボタン CMYK形式で色を指定する
Cはシアン(水色)
Mはマゼンタ(紫色)
Yはイエロー(黄色)
Kはキープレート(黒色)
Aは不透明度
CMYKAともにスライダまたは数値入力する
CMYKAともにパーセント(0 から 100)で指定する
[ホイール]ボタン 色相環で視覚的に色を指定する
H(色相)はリングから選ぶ
S(彩度)はリングに内接する三角形の垂直位置で選ぶ
L(輝度)はリングに内接する三角形の水平位置で選ぶ
A(不透明度)はスライダまたは数値入力する
Aは 0 から 255 の256段階の強度で指定する
[CMS]ボタン CMS(カラーマネジメントシステム)を用いて色を指定する
カラーマネジメントシステムを用いることで、特定の機器(モニタ・プリンタ等)ではどんな色になるかを画面上で見ることができる
カラーマネジメントシステムを用いるには、画像を出力する機器用のカラープロファイルが必要
カラープロファイルは機器の色の特性の情報であり、機器のメーカや標準化団体などが配布している

色の入力欄の下にある3つのアイコン([カラーマネジメントされています]アイコン / [色域の範囲外です!]アイコン / [インクが多すぎます!]アイコン)は色の指定状態を表す表示灯です。 ボタンではないのでユーザが押すことはできません。

アイコン 説明
[カラーマネジメントされています]アイコン カラーマネジメントが有効な場合に点灯する
[色域の範囲外です!]アイコン 現在カラーマネジメント中の機器では表現できない色が指定されている場合に点灯する
[インクが多すぎます!]アイコン 文字通りインクの使いすぎで点灯する
※と思うのですが詳細はわかりません

アイコンの右にある[スポイトツール]ボタン([スポイトツール]ボタン)は、一時的にスポイトツールに切り替えるためのボタンです。

操作/コマンド 説明
[スポイトツール (画像から色を採取)]ボタン 一時的にスポイトツールに切り替わる
※他のオブジェクトをクリックすることで色を抽出できる
※色の抽出後は前に選択していたツールに戻る

ダイアログの右下にあるRGBAの入力欄は、HTMLカラーコードとも呼ばれます。 RGBAの入力欄は、赤成分・緑成分・青成分・不透明度を16進数のカラーコードで確認・修正するためのものです。

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