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クローン(形状やフィル/ストロークが連動する複製)

  

複数オブジェクトで形状やフィル/ストロークを連動させる

Inkscapeには、クローンと呼ばれるリンク付きの複製の機能があります。 クローンによって複製されたオブジェクトは、複製元と複製先が連動するようになります。 複製元の形状やフィル/ストロークを変更すると、複製先も同じ変更が適用されます。 なお、フィルとストロークは連動させないようにもできます

 

複製先を変形しても複製元には影響はありません。 連動は、複製元 → 複製先の一方通行です

複製先の変形(拡大・縮小や回転)は、複製元から相対的に計算されます。 例えば複製先を2倍に拡大した場合は、常に複製元の2倍で描画されます。

クローンを利用してみる

では、クローンの機能を利用してみましょう。 大きさと色の異なる円を重ねた図形を作成し、全ての円を連動して変形させてみます

  
最初に円のシェイプを作成し、それをクローンで4つ複製します。 複製された4つの円の色と大きさを変え、さらに重ねます。
1. 円のシェイプを作成する
1. 円のシェイプを作成する

上図のように円のシェイプを作成します。 フィルとストロークはアンセットではなく、必ず色を設定してください

  
今回のように、オブジェクトごとに色を変えたいという場合(フィルやストロークを連動させない場合)はフィルやストロークはアンセットにすべきです。 今回は説明のために、まだアンセットにはしていないたけです。

では、クローンで複製を作成しましょう。

2. 編集(E) -> クローン(N) -> クローンを作成(N)を実行
2. 編集(E) -> クローン(N) -> クローンを作成(N)を実行

上図のように画面上部のプルダウンメニューの"編集(E)" -> "クローン(N)" -> "クローンを作成(N)"を実行します(またはキーボードのALT + Dを押します)。

3. クローンが作成される
3. クローンが作成される

上図のようにクローンが作成されます。 ただし、複製元と重なっているため見た目ではわかりません

ではここで、画面下部の通知エリアを見てみましょう

4. 通知エリア
4. 通知エリア

上図のように通知エリアに "クローン 円 ..." と表示されています。 円のシェイプのクローンであることが確認できました。

では、複製された円(クローン)を移動させます。

5. クローンを移動する
5. クローンを移動する

上図のようにクローンを移動します。

では続いて、2つ目のクローンを作成します。 ただし、このままクローンを作成してしまうと、クローンのクローンが作成されてしまいます

最初の円のシェイプのクローンを作成したいので、まずは最初の円のシェイプを選択しましょう。 ただし、マウスでクリックするのではなく、クローンからたどって選択してみましょう

6. 編集(E) -> クローン(N) -> オリジナルを選択(O)を実行
6. 編集(E) -> クローン(N) -> オリジナルを選択(O)を実行

上図のように画面上部のプルダウンメニューの"編集(E)" -> "クローン(N)" -> "オリジナルを選択(O)"を実行します(またはキーボードのSHIFT + Dを押します)。

7. 複製元が選択される
7. 複製元が選択される

上図のように複製元が選択されます。 また、少しの間だけですが、複製元と複製先の間が破線で結ばれます

では2つ目のクローンを作成します。

8. 編集(E) -> クローン(N) -> クローンを作成(N)を実行
8. 編集(E) -> クローン(N) -> クローンを作成(N)を実行

上図のように画面上部のプルダウンメニューの"編集(E)" -> "クローン(N)" -> "クローンを作成(N)"を実行します(またはキーボードのALT + Dを押します)。

9. 作成された2つ目のクローンも移動する
9. 作成された2つ目のクローンも移動する

上図のように作成された2つ目のクローンも移動します。

同じ要領で3つ目、4つ目のクローンも作成してください

  
クローンのクローンが作成されてしまわないよう、最初の円のシェイプからクローンを作成してください。
10. 3つ目・4つ目のクローンも作成する
10. 3つ目・4つ目のクローンも作成する

上図のように3つ目・4つ目のクローンも作成します。 これで4つの複製された円が揃いました。

続いて、それぞれの円の大きさを変えます

11. 最初のクローンを選択
11. 最初のクローンを選択

上図のように最初のクローンを選択します。

12. オブジェクト(O) -> 変形(M)...を実行
12. オブジェクト(O) -> 変形(M)...を実行

上図のように画面上部のプルダウンメニューの"オブジェクト(O)" -> "変形(M)..."を実行します(またはキーボードのSHIFT + CTRL + Mを押します)。

13. 変形ダイアログが開く
13. 変形ダイアログが開く

上図のように変形ダイアログが開きます。 今回は縮小しますので、『拡大縮小』タブを選択します

14. 80%に縮小する
14. 80%に縮小する

上図のように幅と高さを 80% に設定し、[適用(A)]ボタンを押します。

15. 選択中のシェイプが80%に縮小される
15. 選択中のシェイプが80%に縮小される

上図のように選択中のシェイプが80%に縮小されます。 なお、すでに説明したように複製元の大きさは変化しません

同じように他の3つのクローンも 60% 40% 20% に縮小します

16. 大きさの異なるクローンが揃う
16. 大きさの異なるクローンが揃う

上図のように大きさの異なるクローンが揃います。 では続いて、色を変えます。 まずは、最初のクローンのフィルの色を赤色に変えます

17. 最初のクローンを選択
17. 最初のクローンを選択

上図のように最初のクローンを選択します。 では、画面下部のカラーパレットから色を赤色に変えます。

18. 色をクリック
18. 色をクリック

上図のようにカラーパレットの赤色を、マウスの左ボタン(マウスの左ボタン)でクリックします。

19. フィルの色は変化していない
19. フィルの色は変化していない

上図のようにフィルの色は変化していません。 フィルが設定されなかったのでしょうか。 画面下部のスタイルインジケータを見てみましょう

20. スタイルインジケータ
20. スタイルインジケータ

上図のようにスタイルインジケータではフィルに赤色がセットされていることがわかります。 にも関わらずキャンバス上で色が変化していないのは、クローンで複製されたものだからです。 複製元のフィルがアンセットではないため、フィルの色が連動しているのです

ではフィルはそのままで、続けてストロークを黄色に設定しましょう。 こちらも画面下部のカラーパレットから色を指定します。

21. SHIFTキーを押しながら色をクリック
21. SHIFTキーを押しながら色をクリック

上図のようにカラーパレットの黄色を、SHIFTキーを押しながらマウスの左ボタン(マウスの左ボタン)でクリックします。

22. ストロークの色も変化していない
22. ストロークの色も変化していない

上図のようにストロークの色も変化していません。 変化していない理由はフィルと同様ですが、一応スタイルインジケータを見てみましょう。

23. スタイルインジケータ
23. スタイルインジケータ

上図のようにスタイルインジケータではストロークに黄色がセットされていることが確認できます

ではここで、複製元である最初の円のシェイプのフィルとストロークの塗りをアンセットに変えましょう。 なお、本来であればクローンを作成する前にやっておく作業です

24. 最初の円のシェイプを選択する
24. 最初の円のシェイプを選択する

上図のように最初の円のシェイプを選択します。 続いて、フィル/ストロークダイアログを開きます。

25. オブジェクト(O) -> フィル/ストローク(F)...を実行
25. オブジェクト(O) -> フィル/ストローク(F)...を実行

上図のように画面上部のプルダウンメニューの"オブジェクト(O)" -> "フィル/ストローク(F)..."を実行するか、キーボードのSHIFT + CTRL + Fを押します

26. フィル/ストロークダイアログが開く
26. フィル/ストロークダイアログが開く

上図のようにフィル/ストロークダイアログが開きます。 では、まずフィルの塗りをアンセットにします

27. 『フィル』タブの[塗りをアンセット]ボタンを選択する
27. 『フィル』タブの[塗りをアンセット]ボタンを選択する

上図のように『フィル』タブの[塗りをアンセット]ボタン([塗りをアンセット]ボタン)を選択します。

28. 最初のクローンのフィルが赤色で塗られる
28. 最初のクローンのフィルが赤色で塗られる

上図のように最初のクローンのフィルが赤色で塗られます。 今までは設定した色が無視されていましたが、きちんと指定した色で塗られました

このように、複製元の塗りをアンセットにすることで、複製先で自由にフィルやストロークの塗りを設定できるようになります

では続いて、ストロークの塗りもアンセットにしましょう。

29. 『ストロークの塗り』タブの[塗りをアンセット]ボタンを選択する
29. 『ストロークの塗り』タブの[塗りをアンセット]ボタンを選択する

上図のように『ストロークの塗り』タブの[塗りをアンセット]ボタン([塗りをアンセット]ボタン)を選択します。

30. 最初のクローンのストロークも黄色で塗られる
30. 最初のクローンのストロークも黄色で塗られる

上図のように最初のクローンのストロークが黄色で塗られます。 ストロークも指定した色で表示されるようになりました

では、他のクローンもフィルとストロークの色を変更しましょう

31. 4つのクローンのフィルとストロークを設定する
31. 4つのクローンのフィルとストロークを設定する

上図のように4つのクローンのフィルとストロークを設定します。

次の記事へ

では、長くなってきましたので、そろそろ一区切りします。 続きは次の記事を参照ください

  
  

まとめ

クローンは、リンク付きの複製の機能です。 クローンによって複製されたオブジェクトは、複製元と形状やフィル/ストロークが連動するようになります。 連動は、複製元 → 複製先の一方通行ですので、複製先を変形しても複製元には影響はありません。

なお、複製元のフィルやストロークの塗りをアンセットにすることで、形状のみを連動させることができます(フィルとストロークは連動しない)。

操作/コマンド 説明
ALT + D 選択中のオブジェクトのクローンを作成する
SHIFT + D 選択中のクローンに関連付けられているオリジナルのオブジェクトを選択する

複製先の変形(拡大・縮小や回転)は、複製元から相対的に計算されます。 例えば、複製先を2倍に拡大した場合は常に複製元の2倍で描画されます。

操作/コマンド 説明
SHIFT + CTRL + M 変形ダイアログを開く
 
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